国際平和映像祭(UFPFF) 2015 特別写真展企画「辺境の学び舎」
国連ピースデー9月21日にJICA横浜で開催される国際平和映像祭(UFPFF)2015特別企画として、フォトジャーナリスト川畑嘉文氏の写真シリーズ「辺境の学び舎」を展示。
期間:9月9日から9月29日予定
場所:JICA横浜2F回廊(横浜市中区新港2-3-1)
●川畑嘉文プロフィール
1976年生まれ、千葉県出身。
アメリカペンシルバニア州立大学卒業。専攻は国際政治。
ニューヨークの出版社、東京の撮影事務所勤務を経てフリーのフォトジャーナリストとなり世界各地を訪問。
雑誌などに写真と原稿を寄稿。
写真展「ハイチから、明日へ。ハイチ大地震の記録」は東京、神戸、福岡、広島で展開。2011年、「地雷原の女性たち」がJRPリアリズム写真集団主宰コンテスト「視点」に入選。2014年、5枚組写真「シリア難民の子どもたち」でJPS日本写真家協会主宰コンテストで金賞受賞。著書に『フォトジャーナリストが見た世界 地を這うのが仕事』。
●「平和」とは何だろう?
戦争のない世界。飢餓のない世界。差別のない世界。
別に有り余る便利なモノに囲まれていなくとも良い。毎日食事ができ、仕事、学校に行き、家族の待つ家に戻る普通の生活。それができる生活を平和というのではないでしょうか?
この世界には残念ながらそんな普通の生活でさえおくることのできない人々が数え切れないほど存在する。ぼくはこれまで紛争や干ばつ、自然災害に巻き込まれて、困難な生活を強いられている人々を取材してきた。中でも特に印象的であったのは、そんな困難に負けずに勉学に勤しむ子どもたちだ。
スーダンの奥地で訪れた小学校はこれまで見たどんな学校よりもボロボロだった。壁がないから砂嵐が吹き込んでくる。机の板さえないから教科書も置けない。と言っても生徒たちの中で文具や教材を持っているのはごくわずか。貧しい彼らはそんなものすら買う余裕もない。先生の給料もごくわずかで教師としては生活ができないため、農業を兼業している。
大干ばつが続く同地の村々では閉校が相次いでいる。近くの村の学校が閉鎖したために、ある生徒は2時間近くも歩いて通学しなければならない。「この学校がなくなれば多くの子どもたちが勉強の機会を失ってしまう」と、校長は話す。村人たちから集めたわずかばかりのカンパによって校舎を修繕しながら辛うじて存続する、ボロボロだけど世界一美しい小学校だった。
学校に通うのでさえ苦労と困難を伴う生活が世界中にある。ぼくたちは今一度いまある当たり前の生活に感謝し、それが明日も訪れることに喜びを感じなければならない。自分たちの「平和」を認識することは世界の不条理への目覚めに他ならない。
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